雲と影絵


露天風呂に入って、目を閉じない時はいつも
山の稜線に沿って流れる雲を眺めている。


その時々で、雲はいろんな色といろんな姿を見せてくれる。
ある時は龍、またある時は犬や人の笑顔など
雲の創り出す作品は変幻自在だ。


特に夕方、露天風呂に入るのが私のお気に入り。
なぜなら、茜色に染まる雲が目の前に拡がるからだ。


特に今日は言葉を失うほど、雲が立体的に現れて
素晴らしかった。



温泉から出て、車を走らせる。


夕焼けの色がどんどん深まっていった。


運転中、視線を空に向けると、そこには茜色の世界が拡がり
瞬時にして私の心は、その世界に惹きつけられた。


車を路肩に停めて降り、無我夢中にシャッターを押す。


そこには、藤城清治さんの影絵の世界が拡がっていた。



私の世代は、藤城清治さんの影絵に馴染みがある。
私たちは幸運にも、天気予報で毎日のように
藤城清治さんの影絵を観ることができた。


私は、天気予報のためではなく
藤城さんの影絵を観るために
いつもチャンネルを合わせていたことを思い出す。


私が小学校に入学する時
親がお祝いに、小さな電気スタンドを買ってくれた。


そのスタンドには、蛍光灯だけではなく
台座に、豆電球に映し出される影絵が付いていた。


夜、部屋の電気を消した後
私は枕元で、この影絵を観るのがとても好きだった。


毎晩、影絵の世界に入り込み、非日常的な感覚を楽しんだものだ。


子供の頃から、光と影の世界に惹かれる自分がいる。


投稿者 haruki : 2007年07月05日 22:17

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