リズムセラピー研究所の公式サイトにようこそおいでくださいました。心から歓迎いたします。ここでは、当研究所を設立した経緯を、私がそれまでの人生で影響を受けた様々な体験や、その時々に感じたり考えたしたことを絡めて、お話ししたいと思います。

私は20歳の時、プロドラマーとして仕事をするようになりました。プロである以上、求められる水準は高く厳しい道でしたが、好きなことでしたので楽しく、バンドメンバーや観客との間で、音楽と通しての一体感を感じることができた素晴らしい体験でした。また、ドラミングは、アマチュア時代、プロ時代を通してずっと、私の内的成長に大きな影響を与えてくれたのです。

私は17歳で母親を亡くして以来、友達とよく遊ぶなど積極的に人と交わっていた外向的な傾向は失せ、表面的にはふつうに人と接してはいましたが、感情的には自分の内側に引きこもるようになっていました。後年、その頃の自分に何が起きていたかを理解できるようになりましたが、その時点では理解できず、状況を変える術を知りませんでした。ただ私を内側から外側に連れ出し、私のエネルギーを解放させて周りとの繋がりを感じさせてくれたものが、唯一ドラミングだったのです。私にとってドラミングは、実に大きな治療効果をもたらしてくれたのでした。

しかし、仕事を始めて3年が経ち、周囲に認められ、精神的にも経済的にも余裕が出てくるにつれて、がむしゃらに練習をしていた時には感じなかった「心に空いた穴」を感じ始めました。そして「このままこの仕事を続けていたら、心に空いた穴はそのままだろう。そしてこの空虚な心のままであれば、演奏する『音』は正直に自分を現すから、技術的には未熟であっても情熱を持って演奏しているアマチュアにも負けてしまう」と思うようになりました。その頃から「心に空いた穴」を埋めたいと思うと同時に、音楽を通して人の成長に携わる活動に魅力を感じ、そのような道を探し求めたいという思いが強くなりました。そして自分の思いを大切にするために、周囲に引き留められながらも辞めることを決心したのです。

ドラマーの仕事を辞めてからは、心身に働きかける様々な手法のセラピーを受け続け、心の傷を癒していきました。母親の死を受容することをきっかけに、過去の未解決な出来事に焦点を当てて抑圧された感情を身体の動きや声を使って表現し、理解し、手放していったのです。そのようなプロセスを通して徐々に心に空いた穴は塞がっていきました。

そして14年前、人のサポートを受ける立場から人をサポートする立場に変わっていきました。その間も心身に働きかける手法を学び続けましたが、それが素晴らしいものであるのはわかっていても、自分自身にとっては何かが足りない感覚と自分らしさが活かされていない感覚があったのです。というのは、私はドラミングによって癒された体験を切り捨てられなかったからです。私にはドラミングで癒された体験と、心理療法やボディワークで癒された体験があり、どちらも大切だということにあらためて気づきました。そして、この二つの手法を統合していくことこそが自分の役割のように感じ、リズムセラピー研究所の設立に至りました。

また、私が修得してきたドラミング、ボディワーク、心理療法はすべて、海外で発展してきたものです。確かに海外の先生に師事したことで得られたものは大きく、これからも引き続き海外の先生から学び続けますが、それと同時に日本の伝統に根づいた、日本人としての大切な美質にも目を向け、海外の手法を日本人に合ったものにしていくことも、模索していく所存です。

まだスタートしたばかりですので至らぬ点は多々あると思いますが、このような使命感を持ち続けて、流行に左右されず一歩一歩、自分のリズムとともに研究所の活動を続けていくつもりでいます。

よろしくお願い致します。

2006年9月15日

所長 贄川治樹